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 最後に何かひとつ、強力そうな魔法を試すしか方法(みち)はないのかもしれない。  眠りこけるジュリの代わりに、俺は粘り強くページをめくった。 「っおい、ジュリ、起きろ」 「ん〜……」  毛布にくるまった彼女の肩に触れ、揺り起こす。ジュリは眠気まなこを擦りながらムク、と起きた。  攻撃の魔法の中に、どんな命令にも従うという内容を見付け出した。ジュリはハッと目を見張り、「やってみます」と続けて杖を取った。  ジュリと向かい合って立つ。彼女は書かれた呪文を口にしてから、俺の目を見つめ一息に言った。 「私に恋をしなさい」  それから数秒。微妙な間があき、俺は首を捻った。  魔法にかかっているかどうかの判断がつかない。 「キラさん」と効果を確かめるように、ジュリが眉を寄せる。俺は「うーん」と唸った。 「よく分からないけど、ジュリの事は好きだよ?」 「ほ、本当に?」 「ああ」  彼女は頬を緩め、満面の笑みを浮かべた。固く閉じた蕾がぱっと花を咲かせるようだった。 「それじゃあ、私の学園に行きましょう!」  ジュリが俺の両手を取り、今までで一番長い呪文を唱えた。
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