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 ギュッと閉じた目を開けると、視界は淡い煙に覆われ、かすみがかっていた。魔法が発動した際に生じる煙だと思った。  俺はスウェット姿でジュリと向かい合ったまま、何処かの建物内に移動していた。周りの景色が一変した事に戸惑い、あちこちへ首を振る。  天井が高い。写真やテレビなどのメディアでしか見た事は無いが、外国にある城の廊下を彷彿とさせた。  ここが、ジュリの通う学園? 「先生のいる部屋に向かいます、着いてきて下さい」 「あ、うん」  ジュリに手を引かれて、広い廊下を進み、角を曲がる。壁の所々にランタンが付いていて、薄暗い空間をオレンジ色に照らしている。  窓や壁のデザインも日本とは全く違い、異国の雰囲気を漂わせている。  ジュリに手を引かれながら思った。  そういえば、課題をクリアしたらジュリは出て行くんだよな、と。なんだかそれも寂しい。  たったひと月とは言え、完全に情が移っている。  道端で拾った子犬を飼い主の元に帰すような、そんな侘しさと似ている。  そう考えたところで、でもという逆接が頭に浮かんだ。
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