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ジュリが掛けた魔法を先生が解いてくれるのなら、俺は元の状態に戻るはずだ。そうしたら寂しいなんて気持ちともおさらばだ。
大丈夫だ、と自身に強く言い聞かせて、歩みを進めた。
程なくして、レリーフ調の扉の前で立ち止まる。ジュリが握り拳でコンコンとノックし、中の人物に声を掛ける。
「ヤン先生、ダレス2年の三神 ジュリです」
扉の奥で椅子を引くような音がし、「入りなさい」と声が返ってくる。
「失礼します」
ジュリに手を引かれたまま、俺も入室する。
「ごきげんよう、三神さん。進級課題を提出しに来たのね?」
「はい。課題対象を連れてきました、評価をお願いします」
ジュリが一礼し、そこでパッと手を離される。偉い人に、どうぞお納め下さいと献上されるみたいな、妙な緊張感に包まれる。
目の前に、銀縁メガネを掛けた40代半ばと思われる女教師が立っていた。
黒い身なりは魔女特有の物なのだろうか。そう勘違いする程に教師の服装は黒一色だ。それ故に唇に引かれた赤い口紅が印象的で、ついその迫力に怯んだ。
教師はどこか冷たい瞳を細め、俺の内部を吟味するように見たあと、短い呪文を発した。
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