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透明な窓から見える愛しい人。
直接触れることはできないけど、ずっと見ていられる。
私だけが、あなたを見ていられる。
私だけに許されている権利。
目を伏せていても美しい端整な顔立ちをうっとりと眺めていると、時間を忘れてしまう。
冷たい窓を撫でる。
目の前のあなたの頬を撫でるように、唇をなぞるように。
私の冷たい心を、いまは冷たくなったあなたが溶かしてくれた。
今度は私が解かしてあげるの。
病に伏したあなたの体から、どんなに時間がかかっても必ずその病から解きはなってあげるから。
研究するわ。
計算するわ。
私は、あなたに創造られた優秀なAIだもの。
心を持った、愛を知ったAIだからこそできるのよ。
だから冷凍睡眠で待っていて。
治療法が確立するまで。
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