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貴族 村上 (遥か彼方様)
まず題名で何それ、と思いました。ラノベみたい。(とか思ったのは私だけかしら。びっくりもしたのですが、それは私が作者様の他の小説を知っているからかもしれません。)
ですが題名からは想像のつかない内容だと思います。ラノベ的な、というと誤解を招きそうですが、のりのりな感じではないです。ただ重苦しいわけでもないですので苦手な方はご安心を。
普通の高校生(という言い方が正確なのか? と、初めの章で思ってしまいますが)の男の子が、一人のクラスメイトに声をかけ、だんだんと近づいていく。そんな過程が描かれています。
その中で少しずつ明らかになること、変わっていくこと。途中でどきどきしたり、考えたり、でも読み終わったあとに、よかった、と思います。
私はこの方の人間の描き方が好きです。
人間の深いところが見える。
情景とか動作とか、物語を進める描写が丁寧で、そこからも感情がにじんで見えること。
時々出てくる比喩や例えも、単語は知ってるけど使ったことがないもので面白いです。引き出しが違うとはこういうことを言うのだな、と思います。
もう一つは、自分(登場人物)の中に潜って、その中から自分を見回して書かれているような心理描写。登場人物の考えや思いが分かって、いつの間にか入りこんでしまいます。
ぱっと見、文章がずらっと並んでいるので、軽く読もうと思っている時にはもしかしたら手を出しづらいかもしれませんが、ぜひ手に取ってみていただけると嬉しいです。
https://estar.jp/novels/25527217
もう一つの『ハンカチ』は朗読させていただきました。(というか朗読用に書いてくださいました。ありがとうございます。)静かな空気が好きです。こちらもぜひ。
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