1. カシワダくんの恋

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1. カシワダくんの恋

 そもそもの始まりは、自分のアパートの部屋に帰りづらいってこと。  そしたら君が、じゃあ僕の部屋へおいでよって。  で。いまココ。  お風呂に入って、おんなじシャンプーの匂いさせて、おんなじベッドの中。  そりゃあ、お風呂はひとりずつ入ったけど。  君が彼女と同棲してた部屋。  ベッドもちょっと広い。  寝心地は悪くない。  彼女とまだ続いているんじゃないの?  君が5年目の大学生で、彼女が都内で就職。  いいのかな。こういうことして。  男同士。良いも悪いも無い、か。  パジャマに着替えて寝る奴って、ほんとうにいるんだなぁ。  くるんくるんの巻き毛と長いまつ毛。  どっちかというと小柄な俺より、さらに華奢な身体つき。  初対面の時に、絶対、女の子だって思った。  あっさり眠りに落ちた君の巻き毛を、こっそりいじる。  いいのかな。こういうことして。  最近寝付きが悪くて、眠りが浅くて、と君は言ってた。  人肌恋しいってことだね。  いつも彼女と眠っていたんだから。  君の右手がもぞもぞしてるから、握ってあげた。  安心したように、また静かに寝息をたてる君。  いいのかな。こういうこと。  
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