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2. ミカミくんの恋
そもそも僕は最近眠れなくて、ぼーっとしてたんだ。春眠。眠いのによく眠れない。
その授業で一気に目が覚めた。
お尻の筋肉ってこんなに綺麗なんだなって、感動したんだ。
初対面の時、君は白い全身タイツみたいな格好で、部屋の中央に立たされていた。
白いタイツ。
浮かび上がる筋肉の影。
5分ごとにポーズを変えるように、先生が君に要求する。
去年も一昨年も、もしかしたらその前も。
うっかりしたりサボったりして、単位を落としたクロッキーの授業。
こんなに面白かったんだ。
僕は夢中になった。
「次はムービングをやります。」
先生が言って授業が終わったときには、夢から覚めたような気分。
ジャージに脚を突っ込んで帰ろうとしている君に、僕は声をかけた。
君は何故だか僕から目を逸らしていた。
「カシワダくん、だっけ。」
何か言わなくては。
僕は誘った。
「今夜、僕の家で、ショートカット愛好会やるんだけど、来ない?」
ふぇ?と間抜けな驚き顔で、君は僕と目を合わせた。
うわ。
鼻筋がきれい。
王子様みたいな子だ。決して白いタイツのせいばかりでなく。
あの時から、僕の中に君が住んでる。
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