108人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
1. カシワダくんの恋
そもそもの始まりは、自分のアパートの部屋に帰りづらいってこと。
そしたら君が、じゃあ僕の部屋へおいでよって。
で。いまココ。
お風呂に入って、おんなじシャンプーの匂いさせて、おんなじベッドの中。
そりゃあ、お風呂はひとりずつ入ったけど。
君が彼女と同棲してた部屋。
ベッドもちょっと広い。
寝心地は悪くない。
彼女とまだ続いているんじゃないの?
君が5年目の大学生で、彼女が都内で就職。
いいのかな。こういうことして。
男同士。良いも悪いも無い、か。
パジャマに着替えて寝る奴って、ほんとうにいるんだなぁ。
くるんくるんの巻き毛と長いまつ毛。
どっちかというと小柄な俺より、さらに華奢な身体つき。
初対面の時に、絶対、女の子だって思った。
あっさり眠りに落ちた君の巻き毛を、こっそりいじる。
いいのかな。こういうことして。
最近寝付きが悪くて、眠りが浅くて、と君は言ってた。
人肌恋しいってことだね。
いつも彼女と眠っていたんだから。
君の右手がもぞもぞしてるから、握ってあげた。
安心したように、また静かに寝息をたてる君。
いいのかな。こういうこと。
最初のコメントを投稿しよう!