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第1話
僕には幼馴染が二人いる。
一人は「騎士ってなんか恰好よくね? 俺騎士になる!」とか馬鹿な事を言ってる平民の馬鹿。
もう一人は「人のためになる事がしたいの。だから勇者を目指すわ」と真面目に馬鹿な事を言ってる貴族のお嬢様。
二人とも一癖も二癖もあるし、面倒ごとを招き寄せるどころか、自ら突っ込んでいく面倒な奴らだ。
だけど、もうかれこれ何年もずっと一緒にいる。
それはなんだかんだいって、あいつらと一緒にいるのが楽しいからだろう。
「ヨルン! 宿題やってくるの忘れた! うつさせてくれ!」
「ヨルン! こっちに宿題忘れた子が来たと思うけど、私学級委員長だから面倒見なくちゃいけないの。知らない?」
たまに、いやしょっちゅう面倒かけられるが、あいつらの事は割と気に入っていた。
「おい、馬鹿。あれほど宿題やっとけって注意しただろ。なんで忘れるんだよ。あ、お嬢様。その宿題忘れた馬鹿はいつもの馬鹿の事ですよ。面倒みてやってください」
そんな中、勇者養成学校に通っている僕達は卒業試験を受けることになった。
卒業試験の内容は魔物の討伐。
一定の数倒したら卒業ができるらしい。
一昔前と比べて勇者になれる人数が増えてきたため、当時と比べてだいぶハードルが下がってきているが、それでも学生がこなすには少し難しい。
魔物との戦闘になれば命を落とす危険性があるだろう。
けれど、僕の幼馴染(馬鹿&お嬢様)にふりまわされてきた経験が活きているのか、クラスメイト達は全員、試験に乗り気なようだった。
数字が好きな女生徒によれば「私達全員の試験の合格確率はほぼ百パーセントです」とのことだ。
けれど(※ただし問題が起きない場合に限る)なんだよな。
あの二人、トラブル吸引体質だから、絶対今回も何かあるぞ。
僕は目の前、授業中にかくれて何かを口に入れている馬鹿と、それと注意いしているお嬢様を見た。
「あむあむ」
「あっ、駄目じゃない隠れておやつなんか食べて。今な授業中なのよ。これは没収」
「えーっ。ちょっとくらい良くね? なあヨルン、どう思う? 俺宿題忘れたせいで昼ご飯抜きで勉強させられたんだぜ? ちょっとくらいいいと思わね?」
お前らちょっとは緊張感もてよ。
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