#01『生姜焼きとリンゴのコンポート』を食す

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#01『生姜焼きとリンゴのコンポート』を食す

 今日も残業で帰宅が遅くなった。お腹が空いた。へとへとだし、少し栄養のあるものを食べたいと思った。 そうだ、豚の生姜焼きはどうかな、焼くだけだし。そうしよう。  仕事帰りに買い物をして帰ってきた。まず最初に窓を開け放って部屋の換気をし、エコバックから豚ロースのパックとキャベツ、生姜とリンゴを取り出した。リンゴを入れるのがわが家流だ。ほんのり甘くなるだけでなく、整腸作用があるらしい。  まずはキャベツを千切りにする。千切りしていると、以前よく行っていたとんかつ屋の奥さんを思い出した。あの奥さんはいつも客と話をしながらキャベツを千切りにしていた。手元を見ていたり見ていなかったりしていたはずなのに、その千切りは確かに細かった。葉脈に垂直にできるだけ細く刻み、軽く水通しして水切りしておく。  次に生姜とリンゴをおろし金ですりおろす。生姜は好きなので多め、リンゴは八等分し、使うのは一つ。残りはコンポート、いわゆる砂糖煮を作って食べることにした。生でしゃくしゃく食べるよりも好きなのだ。  コンポートの方が少しだけ時間がかかるので、先に用意してしまおう。 小鍋に皮を向いて切ったリンゴを入れる。ひと口かじってみるとけっこう甘いので砂糖は少し。ぎりぎりかぶるくらいの水を入れる。冷蔵庫から市販のレモン果汁のボトルを出して適当に振り入れる。後は火にかけて弱火でコトコト煮るだけだ。  そしてフライパンを取り出し、火をつけ軽く熱する。豚肉を重ならないように並べて焼く。裏返して色が変わったら、しょう油とみりん、生姜、リンゴを合わせたものをたっぷり回しかける。なじんだら火を止め、皿に千切りキャベツをたっぷり敷き詰め、ジューシーなお肉をのせて、できあがり。  全部は多いので、残りは明日のお弁当のおかずにすることにした。リンゴのコンポートも一、二切れで充分だ。冷蔵庫で冷やすとおいしいので、明日はバニラアイスに添えてシナモンをふって食べようと思う。  洋楽をノンストップでかけて、冷蔵庫から缶ビールを取り出し、口にした。 今日も一日がんばったね、私。いただきます。 *From "What doesn't help"
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