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#05 誕生日とドーナツ
今日は私の誕生日。
目が覚めて、ベッドの中でスマホを見ると、朝から友達がおめでとうメッセージを送ってくれていた。ありがたいことだ。
返信してから身体を起こす。
誕生日だというのに予定はない。社会人の彼は出張でいない。週末に会うことになっている。まあ、しかたないよね。
コーヒーを飲みながらブランチのホットサンドを作る。
ホットサンドメーカーの上に、8枚切りのパンをのせ、その上にハムとチーズ、最後にもう1枚パンをのせてぐっと力を入れて蓋を閉める。
どうして日本では、耳付きの10枚切りとか12枚切りのパンがその辺に売ってないのかな、ホットサンドメーカーの蓋が壊れそうだ。
ジュッという音といい匂いがして蓋を開けると、パンにほどよく焼き色がついている。手で取り出すとやけどしそうに熱い。チーズがとろりと溶け出す。はふはふしながら口に運ぶ。
玄関のチャイムが鳴った。まさかね、彼のはずがない。出てみると友達が立っていた。ほらね。
「いきなりごめん! 今日彼氏、来られないって言ってたでしょ? ケーキ食べてないと思ったから、これプレゼント。でもケーキじゃないけどね」
友達がドーナツの箱をくれた。
ありがとう、一緒に食べようよ、と誘う。
私は冷蔵庫から胡瓜の漬物を出した。甘いものが苦手なわが家では、ケーキやドーナツなんかの甘いものは、漬物と一緒に食べていたのだ。
「なにそれ、変わってるね」
友達は驚いていた。変わってるのかな、断然食べやすくなるんだけどな。
食べ終わると友達は帰った。私は手帳を開いて、今年したいことを書き出した。
旅行、食べ歩き、温泉、写真、英会話、料理。親には麻雀を覚えて家族麻雀をしようと誘われている。
うーん、今年もやることいっぱいだな。
深夜になり、もう寝ようと思っていると、彼からメッセージがきた。
“おめでとう。ごめん、仕事が終わらなくて間に合わなかった”
時計を見ると深夜12時を回っていた。こんなに短い文、その日に送ればいいのに。
“ありがとう、お疲れさま”
そう送って、布団をかぶった。土曜日に会ったら文句言ってやるんだから。早く土曜日にならないかな。
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