一日

1/1
前へ
/1ページ
次へ

一日

 朝起きて歯を磨き、顔を洗う。  着替えたら庭へ行き、水をやり手入れをする。  朝ごはんを食べてお茶を飲んだら、お弁当を受けとる。  そのお弁当を手に、畑へ行く。  お昼になればお弁当を食べ、再び畑仕事をする。  夕方になり家へ戻ると、お風呂にはいる。  孫と遊び、夕御飯を食べお酒を飲む。  テレビをみて眠くなったら布団に入り、夢の中へ行く。  代わり映えのない毎日。    歯磨き粉は、歯茎をケアする物でいつも妻が選んでいる。お陰で歯茎はまだまだ健康だ。  庭は私が水をやり草を抜く。水滴が朝日を反射して辺りが目映く輝きはじめると、妻が朝ご飯ができたと呼びに来てくれる。  野菜が沢山のお味噌汁に、魚や卵など、その日の妻の気分で献立は変わる。熱過ぎないお茶は飲みたいときにいつもある。  おにぎりとおかずとお茶のタンク、農具をトラックに積み、妻と畑へ行く。  太陽が真上へ昇るころ二人でおにぎりとおかずを食べる。ここでの会話はここ数年孫の事ばかりだ。  家に帰り、トラックを軽く洗い農具を片付けていると、妻がお風呂が沸いたと声をかけてくれる。  肩までお湯に浸かり、凝り固まった腰や首をほぐす。その後いつもふかふかのタオルで体を拭く。  四人の孫達とそれぞれ遊んでいると夕御飯が出来上がる。  何十年とずっと食べているが、飽きることがない。ずっと美味しいままの妻の作る食事。    眠るまで妻と話す内容はいつも、何でもない様な事ばかり。テレビをみて共に笑い、クイズ番組で反応が遅くなったと笑われ、歌番組に二人してついていけなくなり、孫に笑われる。  そして心地の良い眠りを、与えてくれる布団。  この毎日は、私の妻が長年変わらず私に与えてくれているもの。  毎日、毎日。笑顔。  代わり映えのない一日を、幸せな一日にしてくれる。  我が家には、幸せを造り上げる妻がいる。  私はそんな素晴らしい妻に、何が出来るのかいつも考えてまだ何も出来ずにいる。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加