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「──ん」
朝日が射し込み、目が覚める。爽やかな陽日とは裏腹に、体は酷くつかれている。
うちの体はベッドに横たわっており、直前の記憶とは一致しない。つまり……、
「よかったァあ……」
安堵の吐息が漏れる。あの悪夢はようやく終わったのだと、感極まって涙が出てくる。
ふらついた足取りでリビングに向かうと、焼けたパンの匂いが鼻孔を擽る。
「おはよー」
挨拶もそこそこに、自分の席に座って朝食を摂る。すると、先に着いていたお父さんと、お母さんの目線が刺さる。
「どしたの?」
動揺が隠せない、という様子のふたり。わなわなと指を震わせながら、うちを指差す。
「──あんた、その頭どうしたの」
…? 首を傾げていると、ふいにグラスにうちの顔を反射する。そこに映っていたのは──、
「……え」
山羊のような角が生え、顔色の悪い、うちの姿だった。
「……ウソでしょ?」
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