リビングの母

うちには……

　玄関を開けてあくびをしながら靴を脱いで、一旦息を整えてからすぐ側のリビングへ続くドアを開ける。

「あ、どうも……」

　開けた瞬間に目が合うドアの上部にいらっしゃるその方に向かって頭を下げてからリビングへ。
　カーテンを開けて窓を開けると、入ってくる風を感じながらグッと伸びをした。

「さて……と……」

　振り返ると、またドアの上の方に居るその方と目が合う。
　会釈をして……微笑まれながら２階へ。
　洗濯物を片付けて戻ってくると、

「あ、ヤバい!!」

　私は時計を見て慌ててまた外に出た。
　門を開けるとちょうど幼稚園のバスが走ってきて、先生と子供たちが手を繋いで降りてくる。

「ただいまー！」
「たーいまー！」

　先生と挨拶をしながら左手に娘、右手に息子と手を繋いで子供たちはバスにバイバーイ！、と手を振った。
　バスが見えなくなるまで見送って子供たちと家の中に入る。
　急いで靴を脱ぐと、子供たちは競い合うようにリビングへと急いだ。

「おばあちゃん！ただいま！」
「ばーちゃ！たーいまー！」

　ドア上部に居る旦那の母はにこりと笑ってぺこりと頭を下げる。
　子供たちはキャーキャー言いながら背負っていたかばんを放り出してパタパタと洗面所に走って行った。