タイプX

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注文を取りに来た店員にコーヒーを頼む秀樹。 「あの、その本って、どんなやつ?」 とりあえず、先ほどまでサリアが読んでいた本について聞いてみる。 「量子物理学の、やさしい入門書です」 「難しすぎて禿げそう」 「禿げないでください」 困ったように笑うサリア。 「本当にやさしいものなんですよ? 最近のSF映画などでも使われているので、その理解の一助になればと思いまして」 当たり障りのない会話をしていると、やがてコーヒーが運ばれてきた。 サリアも秀樹が来た際に追加のコーヒーを頼んでいたので、ほぼ同時に口をつける。 「それで、教えてもらいたいんだけど」 ソーサーにカップを置いたところで秀樹は切り出した。 サリアは穏やかな目で見つめてくる。 「あの、仙山さんとあの蕪木って人が使っていたような力は、何なの?」
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