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秀樹は思わず肩を硬らせ、目だけ動かして辺りを見回す。
サリアと違って、暗殺者の気配を感じることなど秀樹にはできないのだ。
ふと、秀樹の耳に何かが唸る音が聞こえてきた。
「危ない!」
ドンっとサリアが胸を押してくる。
一瞬前まで秀樹がいた場所を、空から急降下してきた物体が通った。
それと同時に、ビチャッと何かを吐き出すかのような音が聞こえてくる。
視界の隅に映ったものを見ようと秀樹は首を動かす。
だが既に、サリアによって青いバリアが空中に張られていた。
飛んできた粘着性の塊はバリアにくっついて、やがて滑り落ちていった。
「翼を生やす能力の高橋、クモの糸を出す能力の井戸田ですね」
サリアが冷静に告げたと同時に、上空と地上の両方に敵の姿が現れた。
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