2対1

8/15
前へ
/521ページ
次へ
秀樹は思わず肩を硬らせ、目だけ動かして辺りを見回す。 サリアと違って、暗殺者の気配を感じることなど秀樹にはできないのだ。 ふと、秀樹の耳に何かが唸る音が聞こえてきた。 「危ない!」 ドンっとサリアが胸を押してくる。 一瞬前まで秀樹がいた場所を、空から急降下してきた物体が通った。 それと同時に、ビチャッと何かを吐き出すかのような音が聞こえてくる。 視界の隅に映ったものを見ようと秀樹は首を動かす。 だが既に、サリアによって青いバリアが空中に張られていた。 飛んできた粘着性の塊はバリアにくっついて、やがて滑り落ちていった。 「翼を生やす能力の高橋、クモの糸を出す能力の井戸田ですね」 サリアが冷静に告げたと同時に、上空と地上の両方に敵の姿が現れた。
/521ページ

最初のコメントを投稿しよう!

44人が本棚に入れています
本棚に追加