ヒント、そして実家

4/20
前へ
/521ページ
次へ
秀樹の言葉を聞いて、タクシー運転手に扮した山田は楽しそうに肩を震わせた。 「ふふ、あらかた好きなゲームをインストールし終えたかね」 「まあ、そんなとこですね。あー、近くのハンバーガー屋まで」 「はい、了解ですよ」 山田はシフトレバーを操作し、車を滑らかに発進させる。 窓の外の風景が流れていく。 それを見ていると、先ほど見たショックな光景も頭の奥に流れていくのが感じられた。 「オレがレベル40に達したから、来てくれたんですよね」 「その通り。もう法則はわかってきたようだね」 「ゲーム脳ですからね。レベルが10上がるごとに来てくれることは、割と早く気付きましたよ」 山田との会話は、まるで何度も繰り返しているかのように進んでいく。 やり尽くしたRPGゲームで、レベル上げに洞窟を無意識レベルで歩くように。 「だがね、今回はレベルのことだけじゃないんだ」 信号が赤になり、タクシーが停まる。 「君に伝えておきたいこともある」 「なんです? オススメの中古ゲームですか?」 「それもいいがね……だが、違う」 信号が青になり、山田がアクセルを踏んだ。
/521ページ

最初のコメントを投稿しよう!

44人が本棚に入れています
本棚に追加