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「きみはネタバレが嫌いなタイプだろう?」
「仰る通り。なるべく自分でストーリーをなぞりたいです」
秀樹はリラックスした口調で応える。
もはや、なぜ山田が言い当ててくるのかも不思議に思わなくなった。
何かタネがあるのだろうが、教える順番というのもあるのだろう。
「それなら、ヒントだけあげよう」
「ヒント?」
「そう。この戦いで生き残っていくための、ヒントだ」
滑らかに歩道に寄せたかと思うと、タクシーが停車した。
左側に、チェーンのハンバーガー屋が建っている。
「知らなくてもいい真実もあれば、知らなくてはならない真実もある」
「えっ?」
秀樹は思わず聞き返した。
メーターに料金が表示されている。
秀樹は財布を取り出すと、お札を台の上に置いた。
「取扱注意、だけどね。だが恐れず進むなら、情報がなによりの攻略の鍵になることは……」
山田はお札を受け取ると、運転席から身を捻りながらお釣りの小銭を差し出した。
「君なら分かるだろう? ゲーム好きの藤沢秀樹くん」
指が触れる。
お釣りを受け取る秀樹の目を、山田は真っ直ぐに見つめた。
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