ヒント、そして実家

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まだあまりゲームソウルのことを信じていなかったのだろう。 衝撃的な体験をした割には、事実だけが淡々と書かれていた。 『いつも通り、ゲーム探しに出たら、不思議な店を見つけた。山田屋とかいう、お爺さん一人で経営しているところ。閉店セールとか言って、大量に安売りされていた。ラッキー』 嘘みたいな値段がついていたことに、ワクワクしたのを思い出す。 『店員さんがお土産をくれた。昔やって面白かったシルバーライト。それが好きなのを言い当てられた……勘鋭いのか?』 山田のことを不審に思ったが、その後に起こることを考えれば、ちっぽけな謎だ。 『もう一つのお土産がすごかった。ゲームソウル。ゲームのキャラに変身できる機械というが、アカウント設定したら目が銀色に光った。幻覚かな?』 当時は妄想日記みたいだなと、自信を揶揄したものだが。 「今起こっていることの方が、よっぽどファンタジーだしな」 苦笑いしながらつぶやく。 当時の自分なら、1ミリも想像できなかっただろう。 まさか警察の特殊チームに入って、敵の能力者たちと戦うハメになるとは。 全てが始まったのが、その4月15日。 「それまでは、平凡な高校生だったんだな……」 しみじみと言いながら、秀樹は前のページをめくる。 だが、前日の記述を見て固まった。 「4月14日……」
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