44人が本棚に入れています
本棚に追加
まだあまりゲームソウルのことを信じていなかったのだろう。
衝撃的な体験をした割には、事実だけが淡々と書かれていた。
『いつも通り、ゲーム探しに出たら、不思議な店を見つけた。山田屋とかいう、お爺さん一人で経営しているところ。閉店セールとか言って、大量に安売りされていた。ラッキー』
嘘みたいな値段がついていたことに、ワクワクしたのを思い出す。
『店員さんがお土産をくれた。昔やって面白かったシルバーライト。それが好きなのを言い当てられた……勘鋭いのか?』
山田のことを不審に思ったが、その後に起こることを考えれば、ちっぽけな謎だ。
『もう一つのお土産がすごかった。ゲームソウル。ゲームのキャラに変身できる機械というが、アカウント設定したら目が銀色に光った。幻覚かな?』
当時は妄想日記みたいだなと、自信を揶揄したものだが。
「今起こっていることの方が、よっぽどファンタジーだしな」
苦笑いしながらつぶやく。
当時の自分なら、1ミリも想像できなかっただろう。
まさか警察の特殊チームに入って、敵の能力者たちと戦うハメになるとは。
全てが始まったのが、その4月15日。
「それまでは、平凡な高校生だったんだな……」
しみじみと言いながら、秀樹は前のページをめくる。
だが、前日の記述を見て固まった。
「4月14日……」
最初のコメントを投稿しよう!