ヒント、そして実家

10/20
前へ
/521ページ
次へ
違和感が背中をゾゾゾと這い上る。 秀樹がゲームソウルを手に入れた15日の前日は、休日だった。 いつもなら、なんのゲームをしたとか、料理が上手く作れたとか、妹が家事に文句を言ったとか。 そんな他愛もないことをテキトーに書くはず。 『いつも通り。昨日と変わらない1日だった」 まるで人工知能(エーアイ)が書いたかのような、無感情な記述が載っていた。 「なんだコレ……当日は忙しくて、後日書いたのか? 結局思い出せなくて?」 秀樹の日記は、たとえ短くても、その日にあったことを何とか書き残している。 数日後にまとめて書いたとしても、スケジュール帳を見ながらでも何があったのかを全力で思い出して書くのだ。 だが、これは何だ。 「いつも通り、昨日と変わらない……?」 気になって堪らない。 さらに前日の4月13日の日記を読む。 『ハンバーグが少し焦げたくらいで文句言うなよ麻衣。サラダは美味かったからプラマイゼロだろ』 いつも通り、2人暮らしの妹との何でもないやり取り。 だが、次の文を読んだ瞬間に。 『明日母さんが実家に来いってさ。久しぶりに%*÷^〆☆$%÷<の仕事も見ておけって』 吐き気が襲った。
/521ページ

最初のコメントを投稿しよう!

44人が本棚に入れています
本棚に追加