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違和感が背中をゾゾゾと這い上る。
秀樹がゲームソウルを手に入れた15日の前日は、休日だった。
いつもなら、なんのゲームをしたとか、料理が上手く作れたとか、妹が家事に文句を言ったとか。
そんな他愛もないことをテキトーに書くはず。
『いつも通り。昨日と変わらない1日だった」
まるで人工知能が書いたかのような、無感情な記述が載っていた。
「なんだコレ……当日は忙しくて、後日書いたのか? 結局思い出せなくて?」
秀樹の日記は、たとえ短くても、その日にあったことを何とか書き残している。
数日後にまとめて書いたとしても、スケジュール帳を見ながらでも何があったのかを全力で思い出して書くのだ。
だが、これは何だ。
「いつも通り、昨日と変わらない……?」
気になって堪らない。
さらに前日の4月13日の日記を読む。
『ハンバーグが少し焦げたくらいで文句言うなよ麻衣。サラダは美味かったからプラマイゼロだろ』
いつも通り、2人暮らしの妹との何でもないやり取り。
だが、次の文を読んだ瞬間に。
『明日母さんが実家に来いってさ。久しぶりに%*÷^〆☆$%÷<の仕事も見ておけって』
吐き気が襲った。
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