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「おっと」
ふと何かの勘が働いた気がして、自転車のブレーキを握った。
タイヤのゴムが歩道の石畳を噛み、少し耳障りな音を立てながら車体が停止する。
見上げると、日に焼けた看板が掲げられている。
一昔前の塗装だ……何となくそう思った。
文字自体も所々欠けているので、読むのに少し目を細めた。
「ゲームの……山田屋?」
外から見ていて、店内の照明は明るいとは言えない。
控えめに言っても、その見た目は寂れた店。
だが秀樹は好印象を抱いた。
店のドアまで乗り出した陳列棚を眺め、楽しそうに微笑む。
「おおー、いいものありそう」
店の壁に自転車を止めると、学ランの肩にカバンを引っ掛けた。
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