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大量のゲームソフトが袋に詰め込まれた。
秀樹の羽振りが良かったためか、店員はかなり丈夫めな紙袋を用意してくれた。
スーパーで買う巨大な米袋くらい入っているが、なんとか紙袋は耐えてくれている。
「いいい……」
持ち方を間違えれば、腰をやられそうな重さ。
全身の筋肉を緊張させながら、狭い店内をさらに狭くしている陳列棚にぶつからないよう、慎重に進む。
なんとかゲームソフトの迷宮を抜け、入り口についた。
「あの、ありがとうございました」
ドアの横で振り返り、秀樹はそう言った。
本来は店員からもらう言葉だが、自然と口から出た。
だって、礼を言いたくもなる。
こんなに袋パンパンに詰めてもらって、嘘みたいな値段だったからだ。
店員の姿は既になかった。
「おうふ」
力が一瞬抜け、変な声が出る。
「詰め将棋でもしてんのかな……」
まあオレも店番で暇してたら、どっぷりゲームしてるだろうし。
脳内で勝手に補完する秀樹。
真面目な店員にはなれそうにない。
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