四.

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四.

 コーヒーの入ったマグカップを片手に、修は転職サイトを見つめていた。  つい数時間前まで、奈落の底に突き落とされた気分だったが、今は違っていた。  もちろん、また不採用という結果で終わるのではないか、受けても無駄ではないのかという不安はある。だが、あきらめずに闘う二人の姿から、自分自身も歩みを止めず、立ち向かうべきだという感情が湧いてきたのだ。  仕事内容と勤務地、とりあえず大丈夫……。  修は、パソコンのマウスを握ると、この企業に応募するという項目にカーソルを合わせた。  気づけば、虫の鳴き声が聞こえていた。
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