目が覚めたら魔王城

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「ーーここが、ユーヤ様の部屋になります」  「え、ここが俺の部屋……!?」  驚きの光景に、俺は目を見張った。  この世界ではない、元々いた世界の部屋の倍の広さはある。  部屋をこんなに大きくして、一体何をすれば良いというんだ? ここにはゲームも漫画も何もない。することなど…… 「基本的に、ユーヤ様は玉座にいてもらいます。そのため、この部屋は基本的に就寝してもらう時と、考え事などがある時に使っていただけたらと。後でレン様が尋ねてきますので、そういう話をする時にも、この部屋を使っていただければ、廊下まで声が漏れることはありませんので」 「えっ、そうなのか?」 「ええ。ここは魔界。魔力を使って防音対策をすることなど、造作もありません」  ーー魔族って本当に凄いな。何でもできてしまう。いいなぁ、魔力かぁ。  今の俺は、魔王ということになっているが、本来ならば現役高校生。魔力だとか魔法だとか、少しくらい夢見たって良いだろう? 「……あ、それで玉座というのは、人間が攻めてくる前に、俺が座っていたあの?」 「そうです。では、後ほどその玉座の案内と、城の設備についてご案内いたします」 「ああ、すまない。ところで、ヴィネたちの部屋は、ここに来るまでにあったのか? 扉は幾つもあったが、全て同じ扉だから、判断できなくてな。後でそれも教えてほしいんだがーー」 「ーーえ?」  ヴィネは困ったような声を出した。 「どうかしたのか?」 「い、いえ。ユーヤ様はこちらの世界に来たばかりで、ご存知ないことは承知しているのですが、そのーー」  その続きを言っても良いのだろうか。  そんな不安な様子が、その表情からうかがえた。  その時、俺の頭の中に、1つの考えが浮かんだ。  あ、もしかしてこれ……部屋がないってパターンのやつじゃないか? いや、そんなバカな。あんなに部屋があったのに、ヴィネたちの部屋がないなどーー 「その通りでございます」  俺の思考を覗いたかのように、ヴィネは申し訳なさそに頷いた。
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