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「非常に言いにくいのですが、私共に部屋はありません。一つ前の魔王様の右腕とされていた、レン様以外は与えられていないのです」
「……レンの部屋はどこなんだ?」
「えっと、このお部屋を出て右側にある……あのお部屋です」
他の部屋と外側の見た目は変わらない。
これは覚えるしかなさそうだ。
「それで、ヴィネたちの部屋がないということだが、普段どこで寝ているんだ? まさか、廊下だとか座って寝るだとか、はたまた寝ないだとか言わないよな?」
「えっと、私共は地下で寝ています」
「地下? レンが少女を連れて行ったあの……?」
「そうです。本来、そこが私共の寝床でした。しかし、そこに人間を入れたとなると、私共はこれから、廊下で寝るしかなさそうです」
何かを諦めたように言ったヴィネに「今の主は俺だぞ?」と、笑ってみせた。
「ユーヤ様……?」
「ヴィネ。今のこの城にいる人数と、部屋の数。そして使ってない部屋を教えてくれ。既に使ってある部屋は使えないからな。そこ以外だったとしても、十分に足りるだろう」
「えっ、それはつまり……」
「俺がそのような差別をするはずがないだろう?」
にこりと笑みを作ってみせた俺は、早速作業に取り掛かることにした。
それが終わるまでに、数時間を有したことは、黙っておくとしよう。
その日、ヴィネたちに新しい部屋が与えられた。
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