目が覚めたら魔王城

14/17
前へ
/25ページ
次へ
「非常に言いにくいのですが、私共に部屋はありません。一つ前の魔王様の右腕とされていた、レン様以外は与えられていないのです」 「……レンの部屋はどこなんだ?」 「えっと、このお部屋を出て右側にある……あのお部屋です」  他の部屋と外側の見た目は変わらない。 これは覚えるしかなさそうだ。 「それで、ヴィネたちの部屋がないということだが、普段どこで寝ているんだ? まさか、廊下だとか座って寝るだとか、はたまた寝ないだとか言わないよな?」 「えっと、私共は地下で寝ています」 「地下? レンが少女を連れて行ったあの……?」 「そうです。本来、そこが私共の寝床でした。しかし、そこに人間を入れたとなると、私共はこれから、廊下で寝るしかなさそうです」  何かを諦めたように言ったヴィネに「今の主は俺だぞ?」と、笑ってみせた。 「ユーヤ様……?」 「ヴィネ。今のこの城にいる人数と、部屋の数。そして使ってない部屋を教えてくれ。既に使ってある部屋は使えないからな。そこ以外だったとしても、十分に足りるだろう」 「えっ、それはつまり……」 「俺がそのような差別をするはずがないだろう?」  にこりと笑みを作ってみせた俺は、早速作業に取り掛かることにした。  それが終わるまでに、数時間を有したことは、黙っておくとしよう。  その日、ヴィネたちに新しい部屋が与えられた。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加