目が覚めたら魔王城

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「さて。ヴィネたちの部屋も出来たことだし、俺はそろそろ寝ようかな……」  俺は、案内された部屋のベッドにダイブした。  ふかふかしていて気持ちが良い。  この勢いならすぐに眠れそうだ。  睡眠の神に誘われ、すぅと目を閉じたその時、部屋の扉をノックする音が聞こえた。 「マジか……」  思わず声に出た。  寝ようと思っていたのに……!  そう思いながら「どうぞ?」と言った。  俺の声から数秒後、その扉が開いた。 「主よ、例の人間を地下に……と、機嫌が悪いですね? 何かありましたでしょうか?」  全て分かっていながら訊ねるレンに「いや、何でもないさ」と見栄を張る。 「それで、少女はまだ眠っているのか?」 「はい、ぐっすりと。あれは朝まで起きないでしょう」 「そうか。ご苦労だった。レンも今日は疲れただろう。今日はゆっくりと休め」 「…………」  レンは驚いた表情をみせた。  それはまるで、今までそんな言葉をかけられてこなかった者が出す表情だった。  レンはしばらく黙っていた。  それから言った。 「ありがとうございます、主よ。それでは、私も今日のところは、この辺で失礼致します」 「ああ。ゆっくり休め」 「それでは」  レンはそのまま、部屋を出て行った。  出ていくその姿を見送った後、ぼふんとベッドにもう一度ダイブする。この先のことを考えなくてはならない。少女のことをこれからどうするのか、考える必要がある。  それでも、今の俺にはそんな余力はなく、それを考えるだけの頭も働いていなかった。 「とりあえず寝よう……」  今日は色々なことがありすぎた。  体の疲れが……今頃……  俺は深い眠りへと誘われた。  それから俺は、規則正しい寝息を立て始めたのだった。  部屋から出たレンはつぶやいた。 「人間という生き物は、不思議な者が多すぎる。けれど、だからこそ……魔王に相応しい」  レンの口から「く、くく……くくく」と、乾いた笑い声が溢れた。  その言葉が、誰かの耳に届くことはなかった。誰にもーー
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