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翌日、俺はレンと共に少女の下へと足を運んだ。少女はまだ眠っていた。地下室とは思えないほど、行き届いた掃除。
ふかふかのベッドに、心地良さそうな布団。俺は思わずダイブしたい衝動に駆られた。
けれど、今はそんなことをしている場合ではない。場合ではないのだ……
欲に負けてしまいそうなところを抑え、俺は共に来ていたレンと向き合う。
「それで、この世界についてと今後について、ここで話す……ということ間違いないか?」
「ええ。その通りでございます」
「何故わざわざこの場所で?」
「城の者たちが、人間への対応と、天界の者の対応で大忙しだからです。この人間を見張る者がいない。主と私しか」
「なるほど、監視のため……か」
用意周到だなと俺は思う。
けれど、レンはそんな俺に笑った。
「主も、初めから分かっていたんじゃないのですか?」
「まあな」
俺はレンの言葉に、素直に頷いた。
いや、普通に考えて分かるだろう。
何の理由があって、人間の魔王とその魔王の右腕が、2人仲良く地下室へ行くのか。
地下室で仲良くお話?
そんなことがあるはずがない。
仲良くお話するにしても、地下室にはこないだろう。いや、誰にも聞かれたくないことならば、有り得るかもしれないが。そこに少女がいるとなれば、内緒話もできない。
「まあ、どんな理由でもいいが。さて。話を始めるとしようか」
「ええ。ではまず、この世界についてから、お話致します」
「ああ、よろしく頼む」
レンは言った。
「この世界は今、とてつもなくおかしなことが起きています」
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