壊す ~記憶の欠片~

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 手首を頭の上で括り、更にベッドのヘッドボードに結んだ。  手を不自由にされて、淫靡な期待を込めて俺を見つめる人形のような瞳。  俺の体を熱くさせ、あの夏の暑さが蘇えるようだ。  俺の下で喘ぐ女の声が喧しい。  女が噎び泣く。  汗が頬を伝う。  ベッドの上で体をくねらせる人形のような女。  足を高く持ち上げ、深く突き入れると嬌声を上げ歓喜に震え、人形のようなキラキラとした瞳で俺を見つめる。    「ねえ、気持ちいい? もっと? 」  耳元で囁くと蜜が溢れる。  「ふぁ……きも…ち……いい、もっと……」  「もっと? 気持ち良くなりたい? 壊れるほど? 」  「う…ん、もっと……こわ…して……」  笑った口元が歪む。  この上ない興奮を味わう。  俺の興奮と共に女の喘ぎ声が大きくなり啜り泣く声が耳についた。  「ああ、人形のクセに煩いな」  そばにあったタオルを女の口に突っ込み塞いだ。  ムグムグと何かを言っているが俺には関係ない。  「笑えよ。望み通りあんたのことを壊してやるよ」  女は、驚いたように瞳を見開く。  俺は、女の足をへッドボードに括り付けた。  女の体はあの日の人形のように二つに折りたたまれたようになる。    熱い。  なのに心が冷えていく。   コ・ワ・シ・タ・イ   コ・ワ・シ・タ・イ      
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