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水族館に着くと、どうやら美咲は元気を取り戻したようだ。
優雅に泳ぐ魚たち、プカプカと動くクラゲたちに、面白い歩き方をするカニたち。
「この魚綺麗だねー」「クラゲってさ、フヨフヨと動くよね」「カニさん歩きしてる」
それを見て楽しそうな美咲。
見事なパフォーマンスで拍手喝采を受けるイルカ。大きなシャチのツルツルした感触。
「すごーい! 私もあんな風にジャンプしてみたい」「ツルツルだねー。お肌すべすべ」
イルカショーを見て、シャチに触れあう体験をして、子どものように無邪気に嬉しがる美咲。
僕はポケットに入れた箱の感触を手で確かめながら、魚より美咲を見ていた。二年前の今日も、こんな感じだったっけ。素直で無邪気な美咲が好きで、僕は告白したっけ。
「ねえねえ、どこ見てる? 魚見てる? さっきから、私ばっか見てるよね」
美咲にはお見通し。
水族館デートの美咲はとても楽しそうだった。車に乗りこんだ時に見た元気のなさそうな様子は吹き飛んでしまったかのようだった。
ご飯を食べたり、ショッピンングしたり、充実した一日はあっという間に夜になった。普段は美咲を家に送り届ける時間に、「ちょっと寄りたいところがあるんだ」と伝えた。美咲に「どこ?」と言ったら、「夜景が綺麗に見えるところがあるんだって」と言っておく。そこに前一人で行ったらあまりにも綺麗だったから美咲にも見せたい、ということをそれとなく伝えた。美咲は「いいよ」と了承してくれた。
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