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終章 終了後の話
白き光の世界が引いたころ。辺りに残されたのは私と、私の下に敷いたノア。そして、魔力の根源のシノ、シノのそばにいたシアさん。
「これが、シノの魔術・・・」
「・・・、はい。シノの魔術は、敵を集団消滅させることです。特に本人が敵を倒したい、仲間を守りたいと思った時に強く反応します」
あまり聞かないものだ。それほど貴重で、強い魔法だと思う。これを悪用したら、多分かなり大変なことになる。まあ、私も分かる気持ちである。
「ねえユイちゃん、私の存在忘れてないよね?」
「あ、ごめん。忘れかけてた」
「ひどいよー」
ノアを踏んでいたのを忘れていた。私は慌ててどく。
「ユイさん。シノの魔術を聞いて、どう思いましたか・・・?利用したいと思いましたか・・・?」
「いいえ、私の仲間だな、と思いました。二人は聞いてこなかったけど、この館にいる魔女の噂。それを知っていますか?」
「それはまさか、ユイさんって・・・!」
「そうです。私はこう見えても“茨の魔女”です。・・・、これでわかるでしょう?」
私は翼を出す。その姿を見て、シアさんは驚いた様子だ。
「ユイさんが“茨の魔女”・・・」
「でも!ユイお姉ちゃんはどんなのだってユイお姉ちゃんだよ!」
「・・・、シノ・・・。そ、そうですね。すみません、少し混乱していました」
「無理もないでしょう」
シアさんはシノの言葉によってようやく戻ってきたみたい。
そんなこんな。その後しばらく話し込み、空はあっという間に夜の帳を下ろし始め、黄昏時に向かう。
「もう遅くなっちゃいましたね・・・。そろそろ帰りましょうか」
「そうですね。じゃあばいばい、ユイちゃん」
「シノ、行こう」
私は一人、ほんの一瞬何かが引っかかる。それは、シアさんとシノは二人暮らしってことだった。二人暮らしなら、別にこの屋敷に住んでいても問題はないはず…!
「・・・あ、あのっ!シアさんっ!」
「なんでしょう?ユイさん」
「シノから聞いたんですけど、シアさんってシノと二人暮らしなんですか?」
「そ、そうですけど・・・、それがどうしたんですか?」
「あ、あの、私、この館に一人で住んでるんです・・・。二人暮らしなら…、この館に引っ越してきてくれませんか・・・?ダメもとです」
いったとおりこっちはダメもとで言ってるのだ。勝算なんてないです。あるわけないでしょう。
「ねえお兄ちゃん、いいんじゃない!?引っ越したかったんでしょ!」
「・・・そうだね。いいでしょう。ただ、荷物まとめるので少しだけ時間かかりますよ?とりあえず荷物最低限もってまた夜きます」
「別に大丈夫ですよ!ありがとうございます!」
今日から騒がしくなりそうです。
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