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ーーーそう。
妹の芳子は、とにかく私とは似ても似つかなかった。
容姿も能力も、何もかもが私よりも…ううん、一般的な人間よりも劣っていた。
いつも私と比べられ、惨めな思いをしていた芳子のことを私自身も憐れんでいたけれど、芳子にとって私は自慢の存在だったようで幼い頃はいつも私の真似をしていたっけ。
けれど成長するにつれ、芳子が私も見る目も徐々に変わっていった気がする…。
私はそんな芳子のことを……
あれ?
芳子のことを…どう思っていたんだっけ……
「…せ…い」 「先生!」
「……え?」
「あ、あの…チャイム鳴ってます」
一人の生徒の呼びかけにハッとし顔をあげる。
確かに、授業の終わりを告げる音色が校内に鳴り渡っていた。
「失礼。それでは今日の授業はここまで。みなさん予習復習は各自しっかりしておいて下さい」
いけない…。また昔のことを思い出してボーっとしてしまった。
最近は特にこういったことが多い。
芳子に柏原へ近づく者の処理を頼むようになってからは特に…。
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