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「...他のご家族は?」
「元々母子家庭だったもので、母は去年他界しました。病気で」
「そうなんですか...柏原先生も辛い思いをされてきたんじゃないですか」
「ははっ、すいません、こんなことを話してしまって」
自身の首元にあてる柏原の手に、自然と視線が向く。細くて長い指先がなんとも綺麗だ。
「状況はわかりませんが...弟さんのこと、柏原先生のせいではないと思います。絶対に」
この時からだ。自分でも感じたことのない衝動が全身を駆けめぐったのは。
「ありがとうございます。神間先生、優しいですね」
彼の瞳が、私を捉える。なんて温かな眼差しなんだろう...。
「なんだか、神間先生話しやすくて...聞いて頂いてありがとうございます」
綺麗な鼻筋にシュッとした顎のライン、骨張っている喉元、細くて長い指先.......
どうしてだろう
その全てに
噛みつきたくて仕方がないーーー
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