☓才色兼備☓

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日下 雛奈(くさか ひな) この春に入部したばかりの一年生。 幼いときからテニスを習っていたらしく、一年生ながらもうレギュラー入りは確定かと言われるほどの腕前らしいけれど… 彼と顔を見合わせて微笑む日下にスマホを向ける。 数枚シャッターを切ってから、次は彼単独の写真を一枚だけ撮った。 「いつもいつも彼の周りをチョロチョロしやがって」 淡い栗色の髪を一つにまとめ、頭のてっぺんでポニーテールにしている日下の写真をまじまじと見つめる。 悔しいけれど、こいつはその見た目も可愛らしい。私のような“美人”ではないけれど、男は放っておかないタイプだろう。 「やっぱり、早めに消しておくべきね。またあの子に頼まなくっちゃ」 人間の“無自覚”ほど厚かましいものはない。 彼に近づく者には、きちんとそれを分からせてあげなければいけないのだ。 それが私のためであり、彼のためにもなる。 「だって私、婚約者だもの」 これくらいのことは当然だ。
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