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「彼、今日はスーパーに寄ってから帰ったの。挽き肉を買っていたけど何を作るのかな」
コップにトマトジュースを注ぎ、悠くんの前に置いた。
「偉いわよね、一人暮らしの男性がきちんと自炊をしていて」
パソコンを開き、USBをセットする。今日撮った彼の写真を印刷しなければ。
でもその前に……
プリンターから出てきたばかりの写真を、悠くんに見せる。
「ねぇ、どう思う?」
首を少し斜めに捻り、笑顔を見せる日下 雛柰の姿がそこには写し出されていた。
「そうね。“無自覚”なんかじゃないのかも」
自分のコップにもトマトジュースを注ぎ、それを一気に飲み干した。
写真を手に、レースのカーテンで仕切られている一角へと向かう。
「この子は、自分が若くて可愛いことをハッキリと理解している。それに付け加えまだ大人の女に成りきれていない部分の幼さと、十分に成熟しきった身体。それを上手く使いこなして柏原に近付いているわよね」
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