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まぁ、本当に失明したのかなんて分からないけどね。
この歳の子たちなんて、話しを大きくして面白がる年齢だし。
「そこ、いつまでお喋りしているの」
私の声に、噂話をしていた生徒たちは罰が悪そうに口をつぐんだ。
全く、今時の子は本当に、分かっていないことが多すぎる。
「遺伝子……。本来、人間意外の生物は雌が雄を選びます。有能な遺伝子を残すためです。ここはこの都市でも名の知れた名門校、それだけでも貴女たちのランクは十分に高い。将来的に有能な男性を捕まえる確率も…。
けれどそのためには外見だけではなく、中身も磨かなくてはなりません。選ばれる立場ではなく、選ぶ立場になる。そうなるためにも今はくだらない噂話等はせず、しっかりと知識と教養を身につけましょう」
そう。男性は選んでなんぼ。選ばれるように自分を磨こうなんてもう古い。
選んだ人に選ばれるために自分を磨き、その人に近づく者は容赦なく蹴落とす。どんな手を使ってもね…。
そのくらいの精神と度胸がなければ幸せになんてなれっこない。…いい男はみんなが欲しがるのだから。
静まり返った教室で、生徒達は互いに目配せを送っている。言いたいことがあるのならハッキリと言えばいいのに。
まぁそんな度胸もないのだろうけれど。
でもその怯えるような…人を小馬鹿にするような視線が、あの子を思い出させて私の神経を逆なでさせる…。
いつもいつも、私の後をくっついてくることしかできなかったあの子を…。
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