☓一心同体☓

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だから芳子が私を見る目...あれはてっきり私への嫉妬の表れなんだと思っていたけれど、違ったのよね。 それなのに、どうしてこんな気持ちになるのかしら。 「神間先生、大丈夫ですか?」 ふいに背後から声をかけられ、振り返る。 心配そうに少し身をかがめ、私の顔を覗き込む柏原の姿がそこにはあった。 「頭をおさえてらしたので。頭痛ですか?」 「え、えぇ。少し」 「良かったらこれ」 自身のポケットから頭痛薬を取り出した柏原は、それをポンと私の手に乗せた。 微かに触れる手から、彼の体温を感じる。 「僕も偏頭痛持ちで。薬は常備してるんです」 「…ありがとうございます。柏原先生こそ大丈夫ですか?その…またテニス部の生徒が……」 「あぁ」と呟き目を伏せた柏原は、自身の首元に手をあてた。 二年もの間彼を見続けていたら分かる。 この動作は気持ちが落ちている時や、無理に表情を保とうとしている時に行う彼の癖だ。 彼の精神は今、明らかに弱っている。
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