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白衣のポケットからスマートフォンを取り出し、彼のSNSをチェックする。
三日前から更新がない。
彼が小まめにSNSを更新するタイプでないことは分かっているけれど、これは日々の日課だ。やめられない。
「そろそろ通る時間ね」
窓の外から校舎の外を覗く。
テニスコートがあるグラウンドでは、すでに数人の女子部員が短いスカートをヒラヒラとさせながらストレッチをしているのが見える。
「色気付いちゃって」
あぁ…どうして彼がテニス部の顧問なのだろうか。
若くピチピチな女子生徒たちにいつも身体を寄り添わせながら、彼は丁寧にフォームを教えている。決して下心はないのだろうけれど。真面目ですからね。
例えそうであったとしても、本当はその事が嫌で嫌で堪らない。
まぁ、わざわざ彼にそんなことは言わないけどね。
私はそこまで厚かましい女ではないのだから。
そもそも、どれだけ若かろうが、肌にハリがあろうが、誰も私に勝てるわけがないのだ。
「あっ」
女子生徒たちがあげる黄色い声ですぐに分かった。
ラケットを片手に、コートとは反対側から彼がやってきた。
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