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39.
" Their Daughter,Yumi 娘、ゆみ "
今私は妹のさゆみを抱いている。
まだ生まれて半年の可愛い盛りのさゆみ、時々自分の子を
抱いている気分になる。
さゆみは私とのお留守番が好きだ。
母が居るときでも私の側を離れようとしない。
あれから3年半、この3年半で私たちの生活は大きく一変した。
嘘のような話だが互いに憎からず想いあっていた母と京平さんの
偶然の再会は、彼らだけでなく私や弟の運命までも大きく変えた。
二度と会うこともないだろうと思っていた男性に再会した
母は、京平さんを見てひどく懐かしい人に会ったような気分に
なったのだとか。
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胸がギュッと熱くなったのよ。
いつも表情に喜怒哀楽の少ない人、早乙女京平、その男性が
穏やかな表情で私の前に佇んで
「あさみさん、お変わりなかったですか?」って尋ねてくれたの。
そんな彼を前にして、たったそれだけのことなのに
ひどく幸せに思えたの。
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再会直後のことをそんな風に母は私に教えてくれた。
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