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第?か分からん 悪だくみ
「めたくそにやられましたね」
「もうずたぼろですよ」
「またやる気、出しますかね」
「再起不能でしょ」
私の計画実行組合の組合員であるヨゼフィーとラッカは、私の部屋の外のテラスで、お茶を飲んで語り合っていた。
よからぬ陰謀を実行する組合員同士、くだを巻いているってわけだ。
私はため息をついた。
「お嬢、もう打つ手はありませんね。もう諦めましょう」
あの舞踏会は何の実りもないまま、無事に終わった。
ヨゼフィーははやく私を片付けて、厄介事から解放されたいから、そう言う。
「男なら、いくらでもいますさ。いい男、紹介しましょうか?」
ラッカは何でも屋だから、私の恋心が分かってない。
私はまたため息をついた。
「本当に私はもう駄目なのかしら?」
「駄目ではないでしょうけど、相手はいくらでもいますから、あいつにそれほどこだわらないほうが」
「そうですよ。年頃のいい男なら、履いて捨てるぐらいいます」
ヨゼフィーにもラッカにも言われて、私は苛立った。
「どうしたら、堅物男を自分に結婚を申し込ませることが出来るのか。それを考えてよ」
「しかし、お嬢様。もう、打つ手というより、相手の気持ちを考えたほうが良いんじゃないですか。いくら押してもなびかないもんは、気がないんですよ。気がないものを、無理やりその気にさせるってのはね、そりゃ難しいわけですよ」
「私は領主の娘よ」
諦め半分で、ヨゼフィーもラッカも私を見る。
「私にものを申すやつなどいない。私は私のやりたいようにやればいいの」
「へいへい」
「はいはい」
二人とも、私の強情さにやむなくおとなしくなる。
(まったく、どうしてやろうかしら)
思い出せば、数々の手法を下してきた。
「まず、最初のが、あれよね・・・」
陰謀1、父から進めてもらう。これは、なんとかかんとかで、まだ私は未熟者ゆえにと断られた。
陰謀2、男の恩義があるご婦人から進めてもらう。
これも、断られる。
陰謀3、プレゼント攻撃。これは趣味が悪いと言われて、撃沈。
そこからまた私は、「結婚せねば、不倫したという偽り話をばらす」と脅したが、これは相手にされず、記憶からごっそり消された。
陰謀4、舞踏会で周囲を固める作戦。社交辞令で流される。
そこからまた、結婚指輪を勝手に買って、自分がもらったと触れ回る作戦。
を見られた最強の王手である王様の説得も、断られる。
「数々の強引な手立てを実行してきたわ。けど、堅物は何を言っても進まず、相変わらず堅物が治らない。失敗ばかり」
いい加減、諦めたら?
二人の忠実な家臣に同じ顔で見られて、私は無視する。
陰謀5、強盗に頼んで、無理やり脅す。
そう・・・陰謀5が残っていた。
「忘れていた計画を思い出していたわ」
「まだ、するんですか」
「何をしても駄目で、どうしようものか手をこまねいていたけれど、まだ手はあるわ」
「へいへい」
「付き合いますよ」
二人はやむなく従ってくれた。当然よね。ラッカは出世、ヨゼフィーも出世とリリーアのために、私を後押しする以外、良い方法はないのだ。
ちょっと強引すぎるかもしれないけれど、私は次の行動に出ることにした。
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