晴れて公国に

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晴れて公国に

「無理よね」 「無理だろう」  それから・・・  次期皇太子にクルミンスを推薦したというのは、クサーバー領地主から漏れ出た話だと分かった。漏れ出ただけで、主張はしてないので、クサーバー領地主は無罪を主張。王様から、白と決定がいただけた。  今はちょうど、皇太子を決定する微妙な時期に来ていて、お互いを排除したい勢力が、一大勢力の父を打ち崩そうとしたのだろう。  次の皇太子には、長男アムリンスがなることになり、クルミンスの勢力はすぐに主張を変えて従順になり、何事もなく皇太子は決定。国内も荒れることはなかった。  謀反は誤解であったことが伝わり、派遣された王軍は撤退。  我が家も平和を取り戻し、事後処理に各地の聴取や、王様ご報告に追われて、さらにばたばたしたけれど、元の我が家に戻った。  光が差し込むティールームで、父と母がのんきに私の縁談を取り決める時間も戻って来た。 「ミャムセンは大貴族の息子で、財産家なんだが、自由に育てられているから、うちのエルセンとは難しいだろうな」 「難しいでしょうね」 「気が強くて、利かん気だからな。我儘で」 「アイドリアンアイドリアン、言ってるけど、あっちも難しいでしょうね」 「あれはわしが進めても、断ったしな」 「まだ思い続けるなんて、我が子ながら、精神の強さを尊敬するわ」 「どうするかね、あの子の嫁ぎ先」 「どうしましょうかね?お父さん」 「もう先に決めてしまおうか。いっそのこと」 「そんな強引なの駄目よ」  時が経ち、  わが父の領地は、無事にユリシアス公国として独立した国となった。  すべてがうまく行って、新国王となったわが父ユリシアスも、私も、税が減る我が地方の村人たちも、幸せな日々だった。  公国の誕生のお祝いに、城下は村人がお祝いをしてくれて、毎日お祭り続きで、舞台では音楽や舞踏が行われ、お酒が飲み交わされ、ごちそうが振舞われ、花吹雪が舞った。
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