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めでたしめでたし?私以外
「いやあ、我が国が晴れて、公国として独立できたのは、ひとえに、姫様のおかげ」
大臣ヨゼフィーは、新しく宮廷に出仕する日に、私の部屋に挨拶しに来てくれた。
「姫様の強引なやり方にうんざりする時もありましたが、姫様の強引さも役に立つ時もありましたな、今まで信じてついてきて、良かったです。これもきっと天のご加護のおかげでしょう」
きちんと大臣らしくかっちりと着飾っている。
「以前から各地の貴族や領地主と話を詰めて、あとは法律整備や農地整理、住民登録などさまざまありましたが、晴れて、ようやく、一つの国となることが出来ました、いやあ、めでたい」
今までの人に言えないことをやったのと、冷や汗をかくのとの騒ぎなど忘れたように、ヨゼフィーははしゃいでいる。
「私も晴れて、内務副大臣、就任です。いやあ、嬉しい。ここまでしてくれた姫様、このヨゼフィー、これからも、何でもいたしますので、またどうぞこき使ってくださいませ。何卒、よろしゅうに」
「私もこうして、出世しましたもんで、姫様には多大な恩義をこうむり、どう礼を言ったらいいか分かりません。ありがとうございます」
私の下僕だったラッカは、私を守った功績で、将軍に取り立てられた。
二人とも、ちゃんとした身なりをして、貫禄まで備えている。
華々しい時に、晴れやかな顔をしている二人は、立派だ。
「私のことはいいわよ。それより、クサーバー領地主も出仕したんだって?」
「そうそう、それなんですが」
皇太子候補でないほうを応援して、謀反の疑いを招いてしまったクサーバー領地主。
あいつも、何のことなくわが父の宮廷に副宰相として就任したという。
「高慢ちきな顔をして、平気で王の宮廷に居座っています」
「過去の失敗は気にしないってタチね。いいんじゃない」
私はひとのことは言えない。
数々の失敗は、私も多くしてきた。
「まあ、誤報だったわけで、それもいいじゃない。人の思想まで、支配することはできないわ」
「さすが、姫様」
「つきましては、リリーアちゃんとの縁談を進めてもらいたいんですが」
「以前は恋人と言ったくせに」
「もちろん、恋人ですよ、心の恋人」
私に頼む気でいるヨゼフィーに突っ込むことはしなかった。
今までさんざん私の味方をしてくれたのだ。ここで返さないと。
「橋渡しはしてある、あとはあなたが直接言って」
「は、はい、ありがとうございます」
私の部屋に挨拶に来た日、ヨゼフィーはリリーアに交際申し込みしに行った。そして、良い返事はすぐもらえた。
リリーアもヨゼフィーのことを悪く思ってなかったみたい。
簡単でいいなあ。
将軍となったラッカは、小さな小鳥と結婚したいと言い出し、小さな白い鳥と結婚した。
何か変化するのかと王様も王妃様も期待したが、何か物語があるわけでもなく、何も起こらなかった。
まあ、こっちも簡単でいいわ。
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