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*プロローグ
これまでにどれだけの最期を見守り送ってきたか。もう忘れてしまった。
――それが死神の仕事だったから。
けれど、冷たくなった夕焼け色のあの人だけは、絶対に忘れない。
――忘れたくない。
いや。
「――俺が、忘れちゃいけねーんだ」
口から出るのはすっかり馴染んだ物言い。
腰掛けた川岸の土手に日暮れを告げるチャイムが聞こえてくる。
それを合図に立ち上がり、馴染みの店へと足を向けた。
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