教室

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教室

チャイムが鳴った 彼女はポケットから折りたたみの鏡を出して 目元を見る 爪先で内側に入ったまつ毛を整えて こちらを見てにこりと笑う 「ありがとう」 そう言って 彼女は立ち上がりスカートの砂を払う どうして ”ありがとう” なんだろう? 僕には分からない だけど さっきよりも晴れて見えたから 彼女の中では 何かがまとまったのかもしれない それに 僕にはそれ以上に彼女に踏み込む勇気はない 僕は小さく頷いて また空を見た さっきまで降っていた雪は ピタリと止んでいた 彼女はゆっくりと歩き また 教室へ戻って行った 僕も 時間をずらして 四時間目のチャイムが鳴るギリギリに教室へ戻った 教室では いつもと同じ 彼女は仲間たちの中で楽しそうにしていた 僕の姿を目で追っていたのは気が付いていたけど 僕は彼女の方に目をやることはしなかった 彼女の普通に僕はホッとした半面 寂しくも思えた
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