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卒業式
あの日から間もなく
僕たちはこの学校を卒業する
卒業式を終えると
教室や廊下で
最後の別れを惜しむ人たちが
泣いたり
笑ったり
しながら写真を撮り合っていた
僕には関係ない事だと
三年間のポリシーを貫くように
鞄と卒業証書を持って教室を出る
長い廊下
人を避けるように編みながら
僕は下駄箱を目指す
この廊下
こんなに長かったか?
下駄箱で
履いていた上靴をゴミ箱に投げ入れ
スニーカーに履き替える
?
靴の中に何かある
左足をぶら下げたまま
靴を持ち上げ
覗き込む
紙?
ゴミ?
何度も折りたたまれ紙
キラキラしたハートのシールで封をされている
桜色だ
それを開いてみる
”桐山くん
剣道場の裏で待っててください
佐々木”
佐々木・・・?
次の瞬間
浮かんだのは
雪の日の彼女だった
だって
剣道場の裏で会った人は
三年間で彼女しかいなかったから
僕はその紙をポケットに入れて
剣道場の方とは逆に
校門の方へ歩き始めた
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