第一章

10/19
前へ
/322ページ
次へ
「まあ……」 「カタリナ様、これは」 「だから本当に冗談だと思ったんです。……父にはどこかの良家の三男でも見付けてくるようにと言われ、あ、すみません」 「三男って貴女ね……。まあ事情は察しますけど」 「お気を遣わせてしまって申し訳ありません。カタリナ様」 何とか落ち着いたところでクリスタ嬢が、 「カタリナ様、これは由々しき事態です。こともあろうにカタリナ様との婚約を解消、おまけに身に覚えのない断罪などと。アルフォート様方は一体何を考えておられるのやら」 「え、どちらへ」 「勿論、アルフォート様のところへですわ。リリアンヌ、貴女も来なさい。カタリナ様の無実を働きかけねばなりません」 「申し訳ありませんが、それはお止めになったほうがよろしいかと」 「どういうことです?」 そこで説明タイム。 アルフォート殿下やカイル様に直談判したのだけど、一言も聞いて貰えず頓挫(とんざ)したこと。 「それどころか、何故かカタリナ様の評価が下がってしまって、ここであたしが行くのは逆効果かと」 すると考え込むような様子をしたカタリナ嬢が、 「どういうことかしら? 詳しく話して下さる?」 そこでアルフォート殿下やカイル様との会話を出来るだけ再現してみせた。 「……という訳なんですが」 あたしが話し終わると、 「まあ」 軽く額に手をあて天を仰ぐカタリナ嬢。 「何なんですのそれは!!」 淑女の作法どこ行ったという勢いで怒りを現すクリスタ嬢。 (まあ、そうなりますわな)
/322ページ

最初のコメントを投稿しよう!

123人が本棚に入れています
本棚に追加