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「一体何を考えておられるのかしら。このままではアルフォート様のお立場まで危うくなってしまいますわ」
「カタリナ嬢……」
(カタリナ様、優しすぎっ!!この期に及んで自分を貶めようとしてる相手の身を案じるなんてっ!!)
「とにかくこのままではいけません。カタリナ様。何とか手を打たなければ」
(おおっ、貴族のご令嬢らしからぬ好戦的な台詞っ!!)
あたしが少しばかり感心していると、
「そうですわね。でも、今のままではかなりこちらが不利ですわ」
そこでカタリナ嬢があたしを見た。
「先ほどのお話、他の方の前でもできますか?」
「他の方、とは?」
「この国の王妃ジャクリーヌ様ですわ」
(えっ、王妃様!?)
あたしが驚いていると、
「カタリナ様、それは――」
「非常事態です。仕方がありません。それにこのままではわたくしを信頼して、いろいろと便宜をはかってくださったジャクリーヌ様に申し訳がたちません」
(うわあ。何か大事になっちゃったよ)
「まずはお伺いの手紙をしたためなくては。行きますよ」
(カタリナ様。凄い)
こんな状況なのに、しなければならないことをきちんと把握していく。
だけど、
(何故か漂う悪役感――なんでや、工藤――二回目)
「それは待って貰えないかな?」
(え、)
教室を出ようとしたあたし達に声が掛けられた。
(嘘!? 誰か居たのっ!?)
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