第一章

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「やあ。カタリナ嬢にはご機嫌麗しく、はなさそうだな」 机の影(くっ、迂闊だった)から表れたのは、黒髪と青い瞳を持つ美男子で。 (げ、サウス帝国第二皇子のリンツ様っ!! 何でこんなとこにいるのよっ!?) リンツ皇子はこの学園へ留学しているのだから、居てもおかしくはないのだけれど。 「リンツ皇子にはご機嫌麗しく――申し訳ありませんが急用がごさいますので、これで失礼させていただきますわ」 少しの動揺も見せることなく、いっそ堂々とした所作でカタリナ嬢が踵を返す。 (流石(さすが)です。カタリナ様) だけど何故か漂う悪役k――。 それに習ってあたし達も続こうとしたとき、 「見事だ。だが、流石に同盟国の大事は見逃せないかな?」 その台詞にあたし達はぴしり、と固まった。 「何のことでしょうか?」 「悪いね。聞こえてしまったんだ。その話を王妃に持っていくのは少し待ってくれないか?」 (へ?) 「……どういうことですの?」
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