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「やあ。カタリナ嬢にはご機嫌麗しく、はなさそうだな」
机の影(くっ、迂闊だった)から表れたのは、黒髪と青い瞳を持つ美男子で。
(げ、サウス帝国第二皇子のリンツ様っ!! 何でこんなとこにいるのよっ!?)
リンツ皇子はこの学園へ留学しているのだから、居てもおかしくはないのだけれど。
「リンツ皇子にはご機嫌麗しく――申し訳ありませんが急用がごさいますので、これで失礼させていただきますわ」
少しの動揺も見せることなく、いっそ堂々とした所作でカタリナ嬢が踵を返す。
(流石です。カタリナ様)
だけど何故か漂う悪役k――。
それに習ってあたし達も続こうとしたとき、
「見事だ。だが、流石に同盟国の大事は見逃せないかな?」
その台詞にあたし達はぴしり、と固まった。
「何のことでしょうか?」
「悪いね。聞こえてしまったんだ。その話を王妃に持っていくのは少し待ってくれないか?」
(へ?)
「……どういうことですの?」
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