第一章

6/19
前へ
/322ページ
次へ
その後、頑張って説得に励んだのだけど、思い込みなのか刷り込みなのか、カタリナ嬢に対する態度は少しも変えられなかった。 それどころか、 「あの女狐、リリーにおかしな讒言(ざんげん)を吹き込むとは。これ以上は見過ごせぬ」 (あ、これ、もうムリや) 頭の中のネゴシエーターがさじ投げました。 (って諦めるなっ!!) 諦めたら試合終了ですよ、って昔の著名人(?)が言ってたハズ。 そこで――。 カイル・サンガル様へ直談判。 なんだけど、 「まさかアルフォートの言っていたことが事実になるとは」 カイル様は、明るい茶髪と翠の瞳を持つ美男子で、アルフォート殿下と並ぶと黄色い悲鳴が必ず聞こえてくるという。 (自分、よくこんな相手にタメ口きいてたよなぁ) 「何のことでしょうか? カイル様」 「ほら、その話し方。この間までの気安い口調はどこへ行ったのかな?」 (うわ、困った子を見るようなその眼差し、めちゃくちゃ破壊力っ!!) 語彙力どこいった? というようなことを考えると、 「全く。カタリナ嬢にも困ったものだ。リリーに嫌がらせをしたかと思えば、今度は余計な口出しか」 (ちゃうからっ!! 自分で考えたんやっ!!) 「あの、嫌がらせとは?」 「ああ。先日廊下で誰かに突き飛ばされたと聞いたよ」 「違います。あれは自分で転んで」 「あんな相手を庇わなくてもいいんだよ」 (違うがなー!!)
/322ページ

最初のコメントを投稿しよう!

123人が本棚に入れています
本棚に追加