第6話 キスと溺愛宣言

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「有沙ちゃんはいいのに私にはバイト先来るなって言ってたし、私に手を出すわけないとかも言ってたじゃん!」 やっとたしかな証拠を思い出ししてやったりになったが、そのときのショックも甦ってきて「う……」と独り言の呻き声が漏れる。 ツカサは前髪を弄りながら、バツが悪そうに目を逸らした。 「バイト先は、だからその……」 「オバサンとのツーショット見られたくなかったんでしょ」 「ちがうって……」 (……ツカサくん、耳が赤い?) 彼が前髪から手をどけると、紅潮して眉根を寄せた初めて見る表情が現れた。 「店長が、比菜子のことかわいいって言ってるから……」 (……え) すぐには意味を理解できなかった。 しかし彼の表情、顔の赤さ、そして熱のこもった視線に、〝嘘みたいな仮説〟への確信が沸き上がる。 熱さが胸から喉へ昇ってきて、言葉にならない桃色の吐息が勝手に漏れ出す。 「……ツカサくん。あの、ヤキモチみたいに聞こえるんですが……」 「うるせーよっ」 (うそ!? 否定しないっ!?) バックンバックンと暴走しだす胸を自分で抱きしめて押さえるがまったく収まる気配はない。 ツカサが次々に投げてくるまっすぐすぎる言葉たちが、数分前までどん底だった比菜子の心を大洪水のごとく潤していく。 さらに抱きしめ直され、「ひゃあっ」と乙女のような声が出た。 「ちょっ……ツカサ、く」 「今の俺は比菜子にいろいろ助けてもらってる。こんな状態で手なんか出せるわけねぇだろ。比菜子から奪うだけの存在にはなりたくない」 「えっ。えっ」 「でも比菜子が手ぇ出していいって言うなら、めちゃくちゃ出すぞ! いいのか!?」 ツカサの腕にさらに力が入り、比菜子の体はビクンと跳ねた。 (待って、待って……!)
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