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スマホの八時のアラームとともに二度目の起床をした。
目を開けて寝返りを打とうとすると、下半身に違和感がある。
(しちゃった……ツカサくんと。朝から三回も)
彼を受け入れた感覚が熱さとともにまだ残っている。
動こうとするが身動きがとれない。
横になったまま見上げると、眠っているツカサに抱きしめられているのだと気づいた。
お互いに中途半端に服を着ていて、ツカサはズボンのみ、比菜子はブラも下着も取り払ってキャミソールのみである。
胸板に収まりながら覗いてみると、彼はあどけない顔でスースーと寝息を立てている。
先ほどまで、ガンガン腰を打ち付けてきたことを思い出し──。
(すごかった……。ツカサくんやっぱり若い。体力底なし。いやーん! すごい!)
子猫がライオンに変貌したギャップを思いだし、胸をキュンキュン鳴らして興奮していると、ツカサが「ん……」と声を出して目をこすった。
「……比菜子」
彼は長い睫毛をパチパチさせながら、ふにゃりと微笑む。
「おはよ、ツカサくん」
半裸の自分に気付いたツカサも〝朝からしちゃった〟という照れ顔をしたため、比菜子はクスクス笑った。
カーテンから差し込む光に反射するツカサの髪に触れ、ふわふわと撫でてみる。
「ツカサくん、髪の毛の根本、黒くなってきたよ。そろそろ染めなおさないとダメかも」
顔面のポテンシャルのおかげでお洒落に仕上がってはいるが、専用のシャンプーも使っていないため色も黄色みがかり、よく見ればただ放置されただけの状態だとわかる。
「面倒だな。切っちまおうかな」
「え? ……切るって?」
「黒いところ以外全部。金髪のところ切り落として短髪にしちまおうかって」
「え!? え!? ヤダヤダヤダ! 絶対やめて!」
「なんでだよ」
比菜子はくっついて彼の髪を両手で一束握りしめ、そこに頬擦りをする。
「だってかわいいじゃーん、ふわふわで」
「かわいいって言うなよ! よくわかんねえな、髪型なんかどうでもいいだろ。……まあでも、比菜子が嫌ならやめるけど」
「うんうん。やめましょやめましょ」
うなずいてホッと胸を撫で下ろした比菜子は服を着るためベッド下の衣装ケースに手を伸ばす。
ツカサは彼女を、なにか考えながら見つめていた。
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